

令和8年度より3年間、「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」の研究代表者を務めることになりました。本研究班は50年以上前に立ち上げられた、非常に長い歴史を有する研究班です。これまで多くの先人の方々によって蓄積されてきた炎症性腸疾患に関する知見を引き継ぎ、さらに発展させていきたいと考えています。
炎症性腸疾患をめぐる診療環境は、近年大きく変化しています。患者数は増加の一途をたどっており、2023年に実施された全国疫学調査の結果では、国内の患者数は潰瘍性大腸炎が約32万人、クローン病が約9.5万人と推計されています。さらに、新薬も次々と承認されています。このような炎症性腸疾患診療の大きな変化に対応するため、この3年間は、下記の5つのプロジェクトを研究班の大きな柱として取り組んでいきたいと考えています。
オール・ジャパン体制でエビデンスを創出し、それを治療指針やエキスパート・コンセンサスに反映させ、日常臨床に届けるというサイクルを回すことで、炎症性腸疾患診療のさらなる向上を目指します。さらに、医療従事者からの一方的な視点に偏ることのないよう、患者さんの研究への参画を推進するとともに、最終的には患者中心の医療の実現につなげていくことが重要です。また、高額な薬剤が増えていますが、これらの薬剤によって患者さんが通常通り社会で活躍できるようになることの社会的意義を、医療経済学的に評価することも重要な課題であると考えています。
これらのプロジェクトを成功させるためには、オール・ジャパン体制での協力が欠かせません。これまで培われてきた本研究班の強い結束力は、本研究班の大きな強みであると考えています。炎症性腸疾患診療の改善を通じて、患者さんのQOL向上に貢献できるよう、オール・ジャパン体制で尽力してまいります。
研究代表者 松岡 克善